相次ぐ電力業界参入

いま、日本には電力会社が650社以上存在します。このような事態になったのは2016年4月の電力小売完全自由化がスタートしたためです。俗にいう新電力会社と呼ばれる電力事業者ですが、その企業は大小さまざまです。

もともと石油やガスを生業にしていたエネルギー会社が電力を付加するケースはもちろん、携帯電話やインターネット回線を販売している通信事業者も参入しています。不動産業者が自社の管理物件を切り替えるために参入したり、まったく知見のないベンチャー企業が参入したりと、まさに群雄割拠の業界となりました。

その中でも、一般生活者になじみの深いショッピングモールを運営している楽天が電力業界に参入してきました。今回は楽天に代表されるような大手企業が電力業界に参入してくる理由を考察したいと思います。

大手企業の狙い

電力業界に参入してくる大手企業には共通点があることをご存知でしょうか?お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、その多くが「すでに強固な顧客ネットワークを有している」ということです。

楽天さんもご存知の通り、超巨大ショッピングモールを運営することで多くの顧客名簿を持たれていらっしゃいます。いまではそれだけではなく楽天カード会員に代表されるような金融事業の顧客も非常に多いことでしょう。まさに一般家庭の電力切り替え営業には最高だと言えます。それだけではなく、楽天市場に出店されている法人や楽天トラベルのホテル・旅館なども電力のお客様候補になる可能性があります。つまり、楽天さんは個人・法人問わず電気を売ることに対してかなり優位性を持っていると言えるのです。

それに比べて誕生間もないベンチャー企業は、0からの集客活動を行う必要があります。それには多大な労力(マンパワーやコスト、時間など)が発生するため、よほどの強みがないと事業が成功するのは難しいと言えるでしょう。

新電力の今後

ここからは予想の話になりますが、大手企業は「電気を売りたいため」に電力事業に参入しているとは考えづらいです。なぜならば電力事業は利益率が高くないため、大きな利益を期待するのが難しいためです。おそらくほとんどの企業が狙っているのが「データの活用」だと考えられます。

現在、電気はスマートメーターといわれる遠隔操作可能なメーターで検針がされています。スマートメーターは30分毎にお客様の電気使用状況を報告してきます。そのため、ゆくゆくは在宅中か不在かなどが判断できる時代になるでしょう。そうすると宅配業者の無駄な仕事が減り、物流業が一気に効率化されます。まだまだ実験・検討段階ではあるでしょうが、データを活用した新たなビジネスモデルが誕生してくることは間違いないでしょう。

上記は一例ですが、30分毎の電気使用データが活用できる分野は非常に多岐に渡ると予想されます。大きな資本を持つ大手企業が新電力事業を通してどのようなビジネスを生み出すのか楽しみが尽きません。

最後に

今回は楽天をはじめとする大手企業が新電力事業に参入してくる理由を考察してみました。もちろん電力事業は赤字では成り立ちませんが、それ以上の可能性や将来を見据えての参入であることは疑いの余地がありません。

また、上述はしませんでしたが、単に既存ビジネスの顧客とのつがながりをより強固にしたいという思いもあるでしょう。現に楽天でんきさんは電力契約特典の1つを楽天ポイントで還元しています。つまり、そのポイントをまた楽天内のサービスで利用いただくことが前提になっているのです。

多くの種類の新電力会社が現れています。ご自身にとって最適な電力会社をぜひ見つけてみてください。